tsukisama’s blog (支店)

毎日更新が目標のほぼほぼ日記です。

それでもハッセルブラッドを売りました。

本記事は移転しました。

約5秒後にリダイレクトします。

先日、手持ちで唯一だった銀塩カメラのハッセルブラッドを売却しました。

金に目がくらんで売ったんですね、と言われても否定はしません。

実際に、たまたま見かけた買取り価格が考えてもいなかったほど高値でしたので「売るなら今かな、売ろう」と最終決断しましたから。

はじめに

これまで、壊れても捨てられないモノLAMY2000とか、使ってないけど捨てられないものWALKMAN Professionalなど、いつまでもモノに執着したようにずっと所有しているようなことを記事にしてきました。

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しかし、ハッセルブラッドを売った時に、ふと自分で気づきましたが、カメラに関してはなぜかあまり愛着というか執着のようなものが少なく、数年たったらサクッと一式システム買い替え、なんてことを結構しています。

単なる新しいガジェット好きな人、ということになるのでしょうけど。

カメラってしょっちゅう持ち歩いたり、自宅でも時間のある時に触ったりして、共に過ごす時間が多い割には、LAMY2000とかの様な思い入れが希薄なことに気づきました。

なぜですかねぇ。

カメラそのものよりも写真を撮る行為と撮った写真には思い入れはあるのかもしれませんが、カメラそのものにはあまり思い入れがないのかもしれません。

それでもハッセルブラッドを購入

購入した時期は結構遅く(というか最近?)、2008年4月頃に購入しました。

きっかけはそれこそ、売った時と逆で「安かったから」です。当然中古ですけど。

銀塩カメラ主流の時代には、中古であってもおいそれと買える値段ではなかったのですが、当時(2008年)はデジタル一眼が各社から発売されており、APSサイズとはいえ画素数もそれなりにあったので、銀塩カメラが徐々に衰退し始めたころです。

特に版面の大きさで高画質を売りにしていたブローニー版(所謂中盤カメラ)は、煽りをもろに受けて既にほぼ新品は売れてなかったと思います。

当然中古も値下がりしてました。

今思えばそのあたりが底値だったのかもしれないです。

そんなタイミングでしたので、無くなる前に一度ぐらいはハッセルを使いたいなあ、というが良い口実となって購入に至った、というわけです。

購入したのは、Vシステムと呼ばれるもの(アポロに積まれて月へ行ったことで有名)で、本体が503CX、A12マガジンそしてCF80mm F2.8レンズでした。

中古でしたので程度はそれなりでしたが、問題なく使用できるものでした。約10万円でした。(それでも全然安い部類でした)。

ある意味憧れのハッセルブラッドでした

使っていくうちに気持ちが別の方向へ

6×6フォーマットに翻弄される

ハッセルブラッドのVシリーズはブローニー(幅6cm)を使用したスクエア(6cm×6cm正方形、映像部分は正確には5.6cm×5.6cm)フォーマットです。

カメラの向きを被写体によって変えずに済むので、合理的なフォーマットといえます。

しかし実際には、人物を撮れば左右の空間が気になるし、風景を撮れば左右の広がりが狭く感じ、構図を整えるのに意外と苦労しました。

ルーペとライトボックスで鑑賞するのも銀塩ならでは。6×6フォーマットに苦労しました。
古典的な操作感

露出計などは当然なく、当時は別のカメラ(露出計を使うために)と併用してました。

標準のファインダーはウエストレベルで、像が逆に見えますので、構図調整が慣れるまで面倒です。

フィルムの装填は数回の練習が必要なほどコツが必要で、バンバン撮影してフィルム交換、という使い方にはまるで向きませんでした。

やればできなくはないですが、基本的に手持ち撮影は不可に近く、やってもしんどいだけだと思います。

上部の蓋を開けるとウエストレベルファインダー。被写体の像は逆に見える。
ツァイスはとっても良いんですけど。。。

個人的には、本格的にツァイスレンズを使ったのはハッセルが初めてでしたが、噂や作例に違わずやっぱり出てくる写真は何か良い感じがします。

ただ、今でも同じ感想を持っていますが、やはりポートレートや人工物を含んだ風景が得意なような気がします。

ツァイスにはこういった風景はあまりマッチしないような気がしました。

こんな感じで、購入して使用していた当時、ワタシは古城跡(竹田城跡)の風景写真に没頭しており、下手な撮影技術のせいもあってハッセルブラッドを有効活用できませんでした。

でも、ブローニー版の画質にはちょっと感動していたので、風景にはもっと機動性のあるペンタックスの645Nを追加購入したりしてました(当時ハッセルの半値で買えた)。。。

銀塩写真や~めた

ハッセルブラッドを購入することによって、ツァイスレンズの良さやブローニー版の画質の良さを体験することはできました。

しかし、そうこうしているうちに時代としてはデジタルがほぼ主流になっており、ちょっとしたきっかけで銀塩写真を撮らなくなってしまいました。

きっかけは時間、ランニングコスト

35mm版にしてもブローニーにしても撮影済みフィルムを現像する必要があります。

デジタルではRAWから現像、なんて言ってますが、銀塩写真では化学薬品を使って工場(または店舗)で処理する工程が必要になります。

銀塩主流時代には1日程度、早ければ数時間で現像が完了できましたが、ある時から最低1週間かかるようになったのです。

プロラボや写真店が現像から手を引きはじめ、現像工場送りになるので時間がかかるようになったのです。 

あと、微妙にフィルムや現状の料金も上がったりして、コストメリットとしてはほぼ皆無になり、銀塩写真やーめた、となったのです。

手持ちのカメラシステムをデジタルへ 

ハッセルブラッドを購入した時点で、既にデジタルと銀塩を併用してはいましたが、銀塩はカメラをサクッと売り払ってほぼデジタルへ変更しました。

この時に所有していた銀塩カメラのうち35mm版はすべて売却しました。

中版であるペンタックスの645Nとレンズ数本も売却しましたが、35mm版より買いたたかれた感じで、銀塩カメラって値段つかないし、ほぼ終わった(オワコンってやつですか)なぁ、としみじみと思ったことを思い出しました。

そういうこともあって、ハッセルブラッドとはいえ、ほぼ値段などつかないだろう、そう思っていました。

のちに買い足したDistagon C50mm F4やCF150mm F4などのレンズはそこそこの値段だったので売却しましたが、基本的なセットである80mmと本体とマガジンの一式は売却せずに(2023年7月)先日まで所有していた、というわけです。

そして、ついに売却

売却のきっかけは、冒頭で記載している通り、買取価格が予想よりかなり高額だったからです。

先に記載の通り、銀塩カメラのうち特に中版と呼ばれるカメラはデジタル化される見込が少なく、レンズも流用できなくなることからシステムとしては終了となったものが多いです。

そういうものは、ほぼ買い取りされないのが普通なのですが、たまたま、いつも利用しているマップカメラの高額買取の中にハッセルブラッドのVシステムが含まれているのに大変驚きました。

どうせ、このご時世にあり得ない「新品同様のみ」という条件だろう、と思って確認しましたが、そのようなこともなく、状態が並品の買取価格が2008年の購入価格を軽く超えてました。

何かブームかなにか起きたのでしょうか(ワタシは知りませんけど、ほんとに)

そう思っていろいろ調べてはみましたが、まあ、多少レトロブームの名残もあるのでしょうけど、基本的にはもともとそれほど大きくは価格が変動していないみたいですね。

一般的な最近の物価高の傾向に合わせて価格が変動してゆくうちに、結果的に高くなっていたということなのかな、そう理解しています。

このまま持っていれば、値段がさらに上がって、なんてこともちょっとは考えました。

しかし、不思議なもので、カメラに関しては「やっぱり売るのが惜しいので持っておく」なんて考えが起きませんでした。

理由はこれまで述べたような感じで、ハッセルといえどもそれほど思い入れがないのでしょうね、ワタシにとっては。

使わないものを持っていても仕方ないし、今のうちに売ってしまおう、とアッさり売却しました。

いろいろ査定が入り、儲けが出るほど高くは売れなかったのですが、買値は上回りました。

こういうところは「さすがハッセルブラッド」ということなんでしょうか。。。。

さようならハッセルブラッド。良い体験でした。
そしてカタログが残りました。Vシステムの80ページもののカタログ。
カタログというよりは写真集といった感じでもはや作品です。

カメラというモノ

デジタルカメラになってからは、新しい方が良いに決まっている、とばかりに、その時に自分の買うことのできる最新で高機能な機種を買って、使いまくって、次の新機種が出たらまた買い替える、というのが当たり前になってきた感じです。

ほとんどサブスクですね。

そう考えると、デジタル一眼を買ってからでしょうか、カメラそのものへの思い入れが希薄になり始めたのは。

銀塩カメラでも、一眼レフがオートフォーカスになってから、カメラ自体が単なる電化製品になってしまったので、ワタシにとっては所有欲を満たせるモノではなくなったのかもしれないです。

昔の銀塩カメラでCanon AE-1という一眼カメラ、カメラとしてはかなりセールス的にヒットとなった大ベストセラーのカメラがあります。

とある本によると、

「AE-1はカメラとしては世界で初めてコンピュータが積まれエポックメーキングなカメラであるが、この時からカメラは何かを失っていった」

と記載されていました。

この文章がものすごく印象に残っています。

全くその通りになっているように思います。

だいたい、実際カッコよくないですしね、最近のカメラって。

なんか意味もなく曲面を多用したヌメッとしたデザインだったりプラスチック製のが多いし。

もう少し所有欲が満たされるカメラが出てくればいいのですけどね。

ただ、今となっては、性能が電気デバイスの進化とほぼ同調しているので、やっぱり、新しければそれでいい、というだけのモノなんでしょうね。

なんかさみしいんですけどね。